防已黄耆湯の適応・効果・飲み方・注意点・副作用<医師監修>
- 2022.5.25
目次
防已黄耆湯について
防已黄耆湯は6種類の生薬から成り立っています。その中における主薬が防已と黄耆です。主薬である防已と黄耆という生薬から防已黄耆湯という漢方薬という名前になっています。
防風通聖散との違い
まず適応が違います。
防風通聖散も防已黄耆湯も近年は美容クリニックで漫然とダイエットのために使用されますが、適応となる「証」が違いますから、よっぽどでない限り、併用はおすすめできません。簡単に言うと、防風通聖散が適応になる患者様はエネルギッシュなイメージ、防已黄耆湯が適応になる患者様は弱々しい水太りの汗かきさんのイメージです。
適応
体力がなく、筋肉が少ない、柔らかい脂肪と水分で包まれているような水太りの方が適応になります。非活動的で疲れやすい体質の方。少しの運動で汗をかきやすい。体は冷えがちで、月経の異常をきたしている、下肢のむくみが目立つ方。
効果
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
※クラシエ漢方から引用
飲み方
1日2~3回に分けて食前または食間に内服してください。
注意点
防風通聖散との併用については、基本的におすすめできません。なぜなら「証」が正反対だからです。防風通聖散の適応はエネルギッシュなイメージで、防已黄耆湯の適応はどちらかというと、非活動的で水太りしている感じです。そのほか、どちらも甘草が含まれるため、併用で低カリウム血症を起こす可能性が高まるからです。
副作用
これは、防風通聖散の副作用とほぼ同じです。ですから防風通聖散のコラムと同様の内容を書かせて頂きます。
漢方薬はお薬ですから普通に副作用はあります。
重篤なものでは、以下のようなものがあります。
・低カリウム血症
・ミオパチー
・肝機能障害、黄疸
・間質性肺炎
・腸間膜静脈硬化症
漢方薬を長期に内服していると、案外多いのは、低カリウム血症です。逆に低カリウム血症の患者様を診たら、漢方薬の内服がないかチェックします。すると、多くの方が内服されております。こむら返りの治療として内服されている芍薬甘草湯が多い印象ですが、これは、成分に甘草が入っているからです。甘草は、長期に内服していると低カリウム血症になるのです。この甘草が、防風通聖散にも入っているので低カリウム血症をきたしうるのです。
症状としては、力が入らない、こわばりなどのような症状(ミオパチー)や、最悪の場合、心臓にも異常をきたし、突然死を起こすこともあります。
その他怖い副作用は、肝機能障害と、間質性肺炎です。
だるい、発熱、吐き気、下痢、咳などの症状がでれば、すぐに内服を中止し、採血検査やレントゲン検査をされたほうがいいと考えます。
まとめ
ダイエット目的で防風通聖散を内服する場合は、弱々しい水太りの方が対象になります。
ダイエット目的で防風通聖散を飲むか防已黄耆湯を飲むかは、ドクターに相談してからにしてください。併用はおすすめできません。
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴