日焼け止めのPA、SPFって何?〈医師監修〉
- 2022.7.31
目次
イントロダクション
日焼け止めに書いてあるPAとかSPFってどういう意味ですかという患者様が多くいらっしゃったので解説させて頂きます。
紫外線について
日焼け止めが阻止しているのは紫外線ですが、まずは紫外線について詳しく解説する必要があります。紫外線は波長により三種類(UVA、UVB、UVC)に分かれます。それぞれお肌に対する影響が異なりますので説明します。
紫外線は英語で、Ultraviolet(UV)と書きますので、UVAのはじめのUVは紫外線のことです。
UVA
紫外線のうち9割を占めます。UVAはオゾン層を突き抜けることができるので地上に到達してくる量が多くなるのです。また雲や窓ガラスでも通り抜けてしまうので、曇りの日でも運転する時や窓の近くにいる場合、紫外線対策は必要になります。一方、エネルギーは大きくないため短期的なダメージは大きくありませんが、UVAは肌の奥に到達してお肌へ長期的なダメージを加えます。具体的には、コラーゲンやエラスチンを変性させ、しわやたるみを形成します。
UVB
紫外線の1割を占めます。UVAに比べるとオゾン層や雲を通り抜けづらく、地上に到達する量は少なくなります。UVBはいわゆる日焼けの原因になる紫外線です。海水浴で真っ赤になったり、水疱ができたりする原因です。エネルギーが強いため、肌表面の細胞を傷害するため皮膚癌の原因になったり、シミやそばかすの原因になったりします。
UVC
UVCは、最も波長が短い紫外線です。オゾン層で吸収されるので、地上にはほとんど到達していません。エネルギーが強い紫外線で人工的に殺菌灯などに利用されます。地上にほとんど到達していないので、あまり気にする必要はないかと思います。
☆やはり、お肌の影響を考えると、UVAとUVBに気を付けなければいけませんね。
PAとは
PAとは、Protection Grade of UVAの略です。UVAの防止効果を示す指標です。PAは、PA+からPA++++の4段階になっています。一番強いのがPA++++です。
SPFとは
SPFとは、Sun Protection Factorの略です。主にUVBの防止効果を示す指標です。赤くなるまでの時間を何倍延ばせるかの指標となります。例えば、赤くなるまでの時間が20分かかる人であれば、SPF30の日焼け止めを使用すると、20×30=600分まで延ばすことができます。SPFのmaxはSPF50+です。ちなみにSPFは日焼け止めを1平方センチメートル当たり2mgずつ皮膚に塗ったときの値を測定した目安です。つまり、適量を塗っていないと数値通りの効果はないので、塗るのであれば、しっかり塗りましょう。
PA++++でSPF50+の日焼け止めを塗っていればOK?
ここに落とし穴があります。PAもSPFも数値が大きいものほど紫外線カット効力は高いです。しかし、お肌への負担も大きくなります。あまり日差しが強くない場合は、弱い日焼け止めを、こまめに重ね塗りするほうが無難です。
日焼け止めを塗っていれば、万全?
SPFやPAが高い日焼け止めを塗っていても、紫外線が皮膚に到達している以上、100%紫外線の影響を防げるわけではありません。万全を期すためには、日傘や帽子、UVカットのサングラスなどを使用するといいでしょう。
日焼け止めの塗り方
お顔の場合、クリームタイプの日焼け止めの場合はパール粒1個分、液状タイプの日焼け止めの場合は、小さなコイン1個分が目安になります。この分をお顔全体に塗分けてください。体幹や手足の場合は、均一になるようにしっかり伸ばし、隙間がないように塗ってください。隙間があるとその部分だけ日焼けすることになります。汗をかいたり、タオルで拭くと、日焼け止めが取れてしまうので、適宜(目安としては3時間程度)塗り直すとよいです。
まとめ
PA:UVAに対する防止効果
SPF:UVBに対する持続時間
を表すものです。
これを参考にすると、SPFは日光に当たる時間をカバーできるように選び、PAは日光の強さで選べばよいですね。効果が強いものはお肌に対する負担もあるので、場合によっては、弱いものをこまめに重ね塗りするのもいいと思います。
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴