ニキビ治療に使うピドキサール(活性型ビタミンB6製剤)について〈医師監修〉
- 2022.8.6
目次
ビタミンB6とは
ビタミンB6は水溶性ビタミンです。腸内細菌によって体内でも産生されます。蛋白質の分解に使われるため、蛋白質を摂取する量が多いほどビタミンB6が必要になります。皮膚や粘膜の健康や、赤血球の中のヘモグロビン合成、免疫機能の維持、脂肪肝の予防にも役立っているビタミンです。
ピドキサール(活性型ビタミンB6)とは
ピドキサールは、「活性型」ビタミンB6の製剤の商品名です。正式名称は、ピリドキサールリン酸エステル水和物です。通常、食品やサプリメントから摂取したビタミンB6群(ピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミン)から活性型に変換されます。すでに活性型にされた薬剤がピドキサールです。すでに活性型になっているので、はじめから最大の効果が出るようになっています。
ビタミンB6の美容効果
ビタミンB6は、ニキビに効果があると言われています。ビタミンB6には、皮膚のターンオーバーを促進効果があり、皮脂の分泌も少なくするからです。そのため、肌荒れ、ニキビがひどい時には、ビタミンB6の補給は有効と考えられます。ターンオーバーが改善することで、ハリやツヤなども良くなります。
その他の効果
心を落ち着かせる効果
GABA入りのチョコレートが睡眠の質を高めるというような宣伝を見た方もいらっしゃるのではないでしょうか。GABAは、心を落ち着かせる神経伝達物質です。かと言って、GABAを経口摂取したからといってそのまま脳に浸透するわけではないので、GABA入りのチョコレートを食べても効果は限定的かな??と思いますが。それはさておき、ビタミンB6は、このGABAの合成時に必要なビタミンなのです。したがって、心の落ち着きにも貢献するのではないかと考えられています。
アトピー性皮膚炎、湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎など
ビタミンB6が関与している可能性があれば、上記の皮膚炎・湿疹群にも効果があります。
貧血予防
赤血球の中のヘモグロビンの合成に関わるため、不足すると貧血の原因にもなります。
女性特有な疾患に効果がある可能性
ビタミンB6はエストロゲン(女性ホルモン)の合成に必要です。ビタミンB6の摂取で、月経前症候群(pr(Int J Gynaecol Obstet 2007;96:43-4.)やつわりの改善(Am J Obstet Gynecol 1995;173:881-4.) に役立つという論文もあります。
摂取方法
通常の食事をしていれば、欠乏症になる可能性は低いです。しかし、ビタミンB6は、冷凍食品などでは減少するので、そういった加工食品よりも新鮮な食品を摂取してください。
肉や魚、レバー、バナナなどに多く含まれています。
あまり欠乏することはないのですが、一応、欠乏症の時の症状を記載しておきます。免疫力低下、湿疹、脂漏性皮膚炎、貧血、脳波異常(痙攣)、口唇炎、口角炎、舌炎、浮腫、聴覚過敏などです。水溶性ビタミンなので、一般的には過剰症になることも少ないですが、サプリメントやビタミンB6製剤の摂取しすぎで、末梢感覚異常や腎臓結石が生じる場合がありますので、決められた量の摂取でお願いします。
まとめ
ビタミンB6は、必要不可欠なビタミンですが、通常の食事をしていれば、欠乏症にも過剰症にもなりにくいビタミンです。一方、ニキビなどの皮膚症状や、月経困難症やつわりがひどい場合などの手段として、ピドキサールのような活性型ビタミンB6の摂取も有効になります。
文責:まゆりなclinic名古屋栄 院長 加藤成貴